まだ自伝は書けない

君がこのまま
無名のまま旅立って行くなど
僕は許せない

君の音楽で僕は笑い
君の音楽で僕は震えた
時には空さえ飛べるように浮き足立ち
また時には誰も知らない朝靄の湖の
水面に泡立つ魚の吐息のように
秘めやかで厳かな音色を奏でる

僕は長い事生きて来て
やっと一つの事に気付いた
どれほどの音楽が日常に溢れていても
本当に大切なものは僅かなのだと

時を経て粛清されその多くが
人の胸にさえ宿らず消えて行くけど
君の音楽に対する愛と情熱は
その壁をも打ち破り魂を震撼とさせる
誰にも到達出来ないレベルで
君は君の音楽を世に然らしめる事が出来る

神から与えられし才能を
自らの手で粉砕する者よ
僅かばかりの勇気を持てとの
天の声さえ届かぬのなら

僕が認めそして愛す
如何なる時にも君を信じる
だからもう一度
その音を聴かせて下さい

どんなに小さな振動でも
届くものがあると
教えてくれたあの人へ
僕はまだ終わらせないよ
君の物語はこの先も続くのだから

最後まで諦めないから