薄暮

どこへ行っても行き止まり 今夜の宿はどこにしよ あそこの街も あそこの角も 今もあなたが潜んでる 涙通りに月が出て あなたと私の影映す ここら辺りでお暇しますと 口まで出掛かり後ずさり ずっと心が痛くって ずっと己を呪ってた 今あの頃に戻っても 繰り返すのが私だから もうこれ以上は進めない 行き止まりの道に花は咲かない

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選挙区

地獄の中を地獄の中を歩いている となりでは楽しそうに家族連れが笑っている あんな風な幸せがある事を知らずに ただただ自分の足元だけを見て歩く 遠くの空に欲しい物があって 此処からでも届くのではと思い ふと周りを見渡すとみかん箱の代わりに ビールケースの上で話す君を見た 誰もが君を知ってるようだが 誰もが君を知らないように 忙しそうに過ぎて行く 君の心の声も聞…

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Last Run

信じる事は難しい 難しいからこそ甲斐がある 一度信じた人ならば 全力で信じてあげるのです 最後まで信じてあげるのです 目を見て声を聴き 心で共鳴し深い所で通じ合う そんな誰しも出来そうで 実は出来ない偉業です 昔の人が言ったよに 信じて最後まで支えるのです 例え迷いが生じても 例え低迷が続いても それだけは それだけは 信じる事が出来なくて …

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宵待草

一瞬だけでも会えたらいいね 何も無かった人よりマシ 何処か遠くの星でもいいから 私を見付けて 望遠鏡で 一瞬だけでも咲けたらいいね 何も無かった頃よりマシ 誰もが眠る月夜の晩に 私を探して 大きな愛で 足りないもの全部あるより いつも足りない位がいいね だからこの手で求めているの 誰も知らないあなたの事を 誰も知らないあなたの良さを

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chain reaction

それは心と心を通わせる行為だと 私は信じていたのだけれど あなたが求めているものを知ったとき 私の心が少し削れた 決定的だったのは入院した時 その時でさえあなたが欲しがったのは 削れた私の心じゃ無かった ただ好きなあなただったから それでも私は良かったんだけど 空っぽのままの私に誰かが 忍び寄る隙にあなたは消えた 不埒な日々に深まる闇へ 溺れたその日私は死んだ…

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Last color

生きていていいのかさえ分からない 足を掬われ手を縛られ口を塞がれ もう後は見れるだけの空を見ている ああ此処は天国だったのかと 思わぬ景色にため息をつく 誰もいない世界で少しだけ 君が微笑んだ気がした もうあの色は見られないんだね 夕暮れとも夜空とも言えない 深くて悲しくて優しい色 君を塗り替えてしまった あの日の僕を許せるまでは …

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傷付くことり

彼女はとても歌がうまかった こんな時代じゃなけりゃね もう人は歌を求めてないの 少なくともこの地ではね さあ自由になりなさい 言葉を捨て親を捨て国境を捨てて 例え彼の地がどんな辛くとも 恥塗られながら生きるよりゃマシ ことりことり自由になって そうして恋もいっぱいしなさい 大人になったあなたは 誰よりも素敵だから 恐れるものなど何も無い

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冷たい花

人の死が当たり前になって行く日常 ただ砂を噛むような日々に 見ていても見つめていない星 あの星になれたらなんて 上手い事言ったつもりだったけど 僕はただの土くれになるのも忘れて 君がいなくなった街に 冷たい花を咲かせる

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喉から手が出る前に

泡のように消えてしまうものより 私は確かなものを欲しがりました 確かなものよりあなたは 泡のように消えてしまうものを大事にしました 泡のように消えたものが 何だったのかと気付いた時に あなたは私に言いました 「もうこれで終わりにしよう」 掬っても掬っても救いきれない泡が みるみる排水口に流れていきました あなたの香りもあなたの声も あなたの優しさもあなたの少し強…

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血晶

伸るか反るかの瀬戸際に 守る物など何もない 雑草の如く生まれ 雑草の如く踏み躙られ 雑草の如く世界を睨む ただ一つ 最後の望みよ 私の子どもたち高く飛べ 風に乗り 雲に乗り 空を越え 世界を跨ぎ どこまでも どこまでも 羽を伸ばして飛んで行け いつか花開くとき 結ぶ時 祖国の旗を打ち立てて 生き残れたと笑うがいい

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